絹雲母の加熱相変化のX線的研究

概要

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塩原絹雲母の加熱時の結晶相の変化の過程をX線粉末写真法により決定し, 一方, フーリエ解析の結果からその構造の推移を解明して次の結論を得た.塩原絹雲母は構造層の積み重ね方が規則正しく, ほとんど白雲母と等しい構造を取っており, これを加熱すると600℃附近で構造水の逸脱が起って, それに伴いAl-(O・OH) 八面体層内が再配列されて面共有八面体連鎖と歪んだSi-O四面体を主体とする安定な無水絹雲母の構造に変り, この構造が1000℃附近まで保たれる. さらに, 1050℃前後まで加熱を続けると, 無水絹雲母の面共有八面体の連鎖が再配列されて稜共有八面体連鎖を生じ, これらの連鎖が, それらの間隙に入った四面体配位をしたSiイオン, Alイオンにより相互に結ばれてムライト構造が生成し, これより1400℃まではほとんどムライトの結晶のみが存在するに至る. 結局, 絹雲母→無水絹雲母→ムライト, の結晶相の推移は酸素原子の最密充填への過程を示している. 1100℃以上では, Kは遊離したSiO2と共にガラス相を構成する.この研究を行うに当り, 御指導御激励下さった本学山田久夫助教授, 岩井津一講師, 試料の御提供を賜りまた加熱実験に御援助下さった本学素木洋一助教授, また, 特に終始有益なる示唆と御懇切なる直接御指導を賜った科学研究所中平光興博士に衷心より感謝する. また, 試料の化学分析に御好意を寄せられた日本電興K.K. 研究所の今井琢也, 林瑛, 金子美道の諸氏に厚く謝意を表する. この研究は一部文部省科学研究助成補助金の援助を受けた. 最後にX線試料の作製と本稿の製図に御助力下さった本研究室浅井弘恵さんに感謝する.
社団法人日本セラミックス協会の論文

絹雲母の加熱相変化のX線的研究

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