イオン交換樹脂による硫酸イオンとテルル酸イオンの分離
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「ビキニの灰」のなかに誘導放射能として含まれる可能性の大きい<SUP>35</SUP>S(半減期87.1日)を検出しようと試みたさい,共存する放射性テルルよりイオウの部分を分離する必要が生じた.テルル酸は比較的硫酸に類似した行動を示し,硫酸をバリウム塩として沈殿させたのではテルルの混入をまぬかれない.また亜硫酸ガスや硫化水素を通じてテルルのみを沈殿,分離する方法は,イオウの非放射性同位体による希釈か考えられ,<SUP>35</SUP>Sの検出には適当とは思われない.筆者らは陰イオン交換樹脂Amberlite IRA-400を用いてテルル酸イオンと硫酸イオンとの分離条件を検討したところ,中性ないし0.1<I>N</I>塩酸酸性溶液では硫酸イオンは完全に樹脂に交換吸着され,テルル酸イオンは樹脂に捕捉されることなく,完全に通過することが明らかになった.この方法を用いて「ビキニの灰」のなかの<SUP>35</SUP>Sの検出を行ったところ,テルルは完全に分離され,純粋にイオウの部分を得ることができた.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
関連論文
- 宝鉱山の化学探鉱
- 細倉鉱山の化学探鉱-4-
- 佐渡鉱山南部地帶地表岩石中の微量の銀及び銅の分布
- 日立鉱山地帶自然水の化学的研究-特に自然電位との関聯について-
- 1-42.鐵鋼中の燐の新比色定量法(豫報)(物理化學)(第8囘定期講演會講演要旨)
- 1-15.ゲルマニウムの國内資源(東京大学理工学研究所第6回定期講演會プログラム)
- 第五福龍丸に降った放射性物質について
- イオン交換樹脂による4価のテルルと6価のテルルの分離
- イオン交換樹脂による硫酸イオンとテルル酸イオンの分離
- ヨウ素酸カリウムによるセリウムの定量的分離法の検討 : 均一溶液からの沈殿
- トリウムよりプロトアクチニウムの陽イオン交換樹脂による分離
- 放射性同位元素の精製,分離及び無担体放射性同位元素の調製
- 2-13.精製セレン中の不純物の定量法(高分子化学,分析化学,燃燒)(第10回定期講演会講演要旨)
- 2-29.植物体内におけるストロンチウムの分布(生物化学)(第九囘定期講演會講演要旨)
- 1-16.國産鑛石よりゲルマニウムの抽出(東京大学理工学研究所第6回定期講演會プログラム)
- 金屬鑛床の化學探鑛について
- "ビキニの灰"の分析をめぐって
- 放射能測定用試料の調製に関する基礎的研究(第1報) : 試料皿における試料のクリーピングの防止について