補酵素Q
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概要
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補酵素Qは生体内における酸化的リン酸化の電子伝達機構に関与するキノン類で, いずれも2, 3-ジメトキシー5一メチルベンゾキノンに多数のイソプレン単位からなる側鎖が結合した化合物の一群を指していう。キノン核に結合したイソプレン単位の数により補酵素Q<SUB>1</SUB>〜Q<SUB>10</SUB>が存在する。<BR>CH<SUB>3</SUB>-O-CH<SUB>3</SUB>-O (CH<SUB>2</SUB>CH=CH<SUB>3</SUB>-C-CH<SUB>2</SUB>) <SUB>n</SUB>-H-CH<SUB>3</SUB>-O n=〜10 (1) <BR>補酵素Q<SUB>6</SUB>〜Q<SUB>10</SUB>はWisconsin大学酵素研究所のR.L.Lesterらにより牛のミトコンドリアから抽出され, またこれとは独立にLiverpoo1大学のR.A.Mortonらによっても単離された。そしてMerck社1のK.FolkersらやHoffmann-LaRoche社のO.Islerらによって (1) のように構造が決定され, 合成も行なわれた。補酵素Qに対してイギリスやスイスの研究者達はユビキノン (Ubiquinone) という名称を与えた。<BR>補酵素Qは多くの動植物や微生物に含まれるが, 必ずしも普遍的に存在するわけではなく, これを含まない組織 (たとえばグラム陽性菌) には, これと構造が非常によく似たビタミンK<SUB>2</SUB> (2) が含まれている。<BR>O- (CH<SUB>2</SUB>CH=CH<SUB>3</SUB>-C-CH<SUB>2</SUB>) <SUB>n</SUB>-H-CH<SUB>3</SUB>-O (2) <BR>たとえば, 補酵素Q<SUB>10</SUB> (融点50℃, 1379) は豚の心臓 (750kg) から純粋に単離された。<BR>最近, 特に注目されるようになった補酵素Qについて化学的な立場から, その生体内における生成経路, 生体に対する生理活性および化学的合成が活発に解明され, また開発されつつあるので, それらの研究の最新の状況についてここに述べることとする。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
著者
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井上 誠一
横浜国立大学工学部物質工学科合成化学講座
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佐藤 菊正
横浜国立大学工学部物質工学科合成化学講座
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佐藤 菊正
横浜国立大学工学部
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松浦 恒雄
エーザイ株式会社研究所
-
井上 誠一
横浜国立大学大学院環境情報研究院
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