鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (3) : リモート・センシングを利用した温度解析と氷河としての特色
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概要
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第1報と第2報 (土屋, 1977, 1978) で明らかにした鳥海山貝形小氷河の年々変動と形態上の特色および流動現象に加えて, 氷体の表面および内部の温度分布の特色を明らかにするために, 1974年10月13日と1975年10月10日に航空機による熱映像探査を実施した.<BR>対応する地上調査と照合しながら熱映像の解析を数種類の方法によって進めたが, 0℃以下の部分が夏を経過した後でもかなり広く存在し, とくに氷体の厚い部分で低温であることと, 内部の不均一な温度分布を反映したと見られる表面温度分布が, 熱映像の数値解析で表示できた.すなわち, 基盤岩脈に乗る氷体の薄い部分の表面で0〜-1℃, その両側の8〜10mの厚さの氷体の表面では-2〜-3℃になっていた.<BR>最暖月8月の平均気温が約17℃という温暖な地帯に発現する “貝形小氷河” は, 極端な厳冬豪雪年の大量積雪が, 低温保存を考慮にいれた質量収支の残差に寄与することによって, 氷河成立の臨界状態に達したものであるといえる.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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