鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (2) : 形態測量と流動観測
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前報 (土屋, 1977) に報告した鳥海山貝形小氷河について, 1973年10月と1974年10月の簡易測量に続いて, 1975年8月の地上写真測量および10月の山岳用セオドライトによる三角測量を実施し, 貝形小氷河のそれぞれの時期における形態を明らかにした.さらに, これら計測作業に合わせて.流動現象を確認し測定するためのいくつかの作業を行ったところ, つぎのことがわかった.貝形小氷河は, 1972年の極小期の後, 1973年には大部分が氷化した1年雪 (氷) の拡大した形で越年し, 1974年には2年氷を含む状態で極大に成長したが, 消耗期間後半における流動量は0.5〜1mという測定誤差の範囲内であり, 1975年に1年雪 (氷) を大部分消失するという縮少期にはいったが, 2年氷を中心にした氷体の消耗期間後半の流動量は約20mになった.また, 流動現象に合わせて, 先端の急斜面は, 48度, 78度そして90度以上と変化し, 1975年の場合, 先端の一部は8〜10月の間に氷体の見かけの前進, すなわち消耗量を上回る流動現象を示した.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
著者
関連論文
- 鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (3) : リモート・センシングを利用した温度解析と氷河としての特色
- 鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (2) : 形態測量と流動観測
- 鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (1) 一年々変動と年層構造
- 飯豊山・月山・鳥海山の大量積雪および小規模氷河現象発生についての序報
- ランドサットデータによる鳥海山の残雪の季節推移の数値解析