鳥海山貝形小氷河の雪氷気候学的研究 (1) 一年々変動と年層構造
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概要
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鳥海山 (2,237m, N39°06, E140°03) は南斜面の高度1,300〜1,900mにあって, 冬の北西季節風の風かげになる斜面上のくぼ地には, いくつかの吹きだまり型多年性残雪があり, 大量の積雪のため降雪後1年以内に大部分が氷化する.<BR>1972〜1976年の調査は, これら残雪 (氷) 群のうち, 高度約1,400mにある “貝形小氷河” を対象にしたが, 年間30m前後に達する消失量のため, 質量の年々変動はかなり大きいことがわかった.<BR>とくに1973年秋〜1974年春の降雪期間の大量積雪は, 春の算定で最大45mを超え, 秋にも最大20m以上の厚さで氷化し, 1975年夏〜秋には最大20cm/日で流下するという小規模な山岳氷河発生の過程を示した.<BR>“貝形小氷河” の年々変動の過程で, 年境界層部分が良く観察できる場合があり, その部分の結晶構造の予備的調査を進め, 1974/75年次積雪の消失現象や1974年3〜4月の噴火による年次鍵層の存在と, 年間数m以上という比較的大きな底面からの融消現象を認めることができた.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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