塑性変形を受けた氷単結晶中の再結晶粒の成長
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概要
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3点曲げ変形をした氷単結晶の中央屈曲部に発生する再結晶粒の成長を映画にとって観察した.再結晶粒の面積<I>S</I> (薄板状の試片による2次元成長を表わす) と時間<I>t</I>の関係は成長初期を除くと, <I>S</I>=<I>kt</I>+<I>C</I>となった.面積成長速度<I>k</I>は扇形の再結晶領域の頂角θの増加関数で, <I>C</I>は初期状態できまる.扇形の末端の成長境界の線成長速度<I>v</I>は, 扇形が相似形を保って成長することから, 扇形の半径<I>r</I>に逆比例し, <I>v</I>=<I>k</I>/β・<I>r</I>で与えられる.この成長の駆動力<I>p</I>が曲げによる歪領域内に放射状に存在する小傾角境界によるエネルギーと再結晶粒の境界エネルギーによるものとすると, 駆動力も<I>r</I>に逆比例する.すなわち線成長速度が<I>r</I>に逆比例するのは, <I>p</I>が<I>r</I>に逆比例するためである.そこで, <I>v</I>の実験値と<I>p</I>の比として境界の易動度が計算され, その値は (3.1〜9.5) ×10<SUP>-10</SUP>cm<SUP>3</SUP>・dyn<SUP>-1</SUP>・sec<SUP>-1</SUP>となった.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
著者
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