シロテテナガザルとカニクイザルの上腕二頭筋における筋線維型の比較
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概要
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霊長類における骨格筋の機能形態学的研究の一環として,類人猿のなかでも懸垂行動による特異的なlocomotionを獲得し,樹上生活を行っているシロテテナガザルと地上および樹上の両行動を行うマカク属のカニクイザルにおける上腕二頭筋横断面 (筋腹部) の組織標本について,収縮機能が異なる赤筋線維,中間筋線維,白筋線維の局在性と分布頻度を筋の極性に沿ってscanningし,これを両種間で比較検討した。その結果,シロテテナガザルでは赤筋線維が44%台で最も頻度が高く,次いで白筋線維が28%台,中間筋線維が27%台であった。これに対し,カニクイザルでは白筋線維が43%で最も頻度が高く,次いで赤筋線維が31%台,中間筋線維が25%台の順となった。以上の内容より両種間では赤筋線維と白筋線維の頻度が逆転しており,シロテテナガザルでは持久力に富む赤筋線維の傾向が強く,カニクイザルでは瞬発力に富む白筋線維の傾向が強いことが明らかとなった。この筋線維構成の差はシロテテナガザルの腕渡り型とカニクイザルの四足歩行型における locomotion system の機能的な相違に基づいていることが示唆された。
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