妊娠と免疫複合体・リウマチ因子-正常女性および慢性関節リウマチ患者の妊娠時における観察-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
妊娠による血清中免疫複合体とリウマチ因子の変動を知る目的で,まず, 35人の正常女性妊娠時の血清について,特異性および感受性の高いラジオイムノアッセイ法を実施して正常コントロール血清と比較した. C1qとmonoclonal rheumatoid factorを利用して四つの異なる方法で免疫複合体を測定し, C1q-BA法とmRF-SP法にて,妊娠時有意に低下することが判明した.一方,リウマチ因子はIgM, IgGの両クラスとも有意に上昇していた.従来報告された結果では,免疫複合体とリウマチ因子の両者とも一定した結論がみられず,これは用いた測定法の欠陥によると推察された. 10例の慢性関節リウマチ患者の妊娠に伴う免疫複合体値の変動は,それぞれ患者の臨床症状と著しい相関が認められた.すなわち,全例で妊娠中免疫複合体値の低下がみられ,関節炎症状軽快の著しい例では,免疫複合体は妊娠中正常域まで低下し,分娩後臨床症状の悪化に伴つて再び上昇した. IgGクラスのリウマチ因子は,少数例で妊娠中低下する傾向がみられ,これらの症例では関節炎軽快が同時期に認められた. IgMクラスのリウマチ因子は,妊娠による変動は明らかでなかつた.以上,正常女性および慢性関節リウマチ患者血清において,妊娠時に免疫複合体の減少する傾向を認め,これは免疫複合体産生低下かもしくは除去作用の亢進によるものと推測された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
吉野谷 定美
東大物療内科
-
吉野谷 定美
東京大学医学部付属病院検査部
-
POPE Richard
テキサス大学サンアントニオ校内科
-
PERSELLIN Robert
テキサス大学サンアントニオ校内科
-
PERSELLIN Robert
Division of Rheumatology, Department of Medicine, The University of Texas Health Science Center at San Antonio
-
Pope Richard
Division of Rheumatology, Department of Medicine, The University of Texas Health Science Center at San Antonio
関連論文
- 414 シクロスポリンAによる慢性関節リウマチの治療
- 118 U1RNP C蛋白のcDNAクローニングと発現
- リウマトイド因子測定値の標準化について
- 成人気管支喘息患者における卵摂取試験後のIgGサブクラス抗体および免疫複合体の変動
- 9.ヒト腎糸球体における Fc レセプターの存在(5 Immune complex)
- 204. リンパ系腫瘍細胞の E, EAC, Fc ロゼット形成率とその形態(免疫担当細胞)
- 81. SLE 腎症の形態学的特徴と臨床像, 各種検査所見の比較(immune complex)
- 川崎病患者における血清 Immune Complex についての検討
- SLE以外の膠原病における腎病変 (全身病と臓器相関内科疾患における腎障害)
- 238 慢性関節リウマチにおける血漿交換前後でのin vitro リウマトイド因子産生能
- 養蜂家におけるIgG_4を中心とする免疫学的検討
- 316.養蜂家におけるIgG_4を中心とする免疫学的検討( アレルゲン(III)職業アレルギー)
- 420 Murine Monoclonal Rheumatoid Factorによる免疫複合体の測定
- マウスモノクローナル・リウマトイド因子を利用した免疫複合体の測定
- 249 マウスモノクローナル・リウマトイド因子を利用した免疫複合体測定法
- 216 RA血清および関節液中の免疫複合体によるProteinase活性の検出
- D-ペニシラミン投与中致死的汎血球減少もしくは無顆粒球症をきたした慢性関節リウマチの3症例
- 424 真菌プロテアーゼの抗原性
- 血管炎と免疫複合体 (免疫複合体の病態生理)
- Immune Complexの検出法と疾患との関係 (免疫学の進歩と内科診療)
- 妊娠と免疫複合体・リウマチ因子-正常女性および慢性関節リウマチ患者の妊娠時における観察-
- 331 コクシジオイドマイコージス患者血清中の免疫複合体の検出(Immune complex)
- 323 正常女性およびRA患者血清中の妊娠による免疫複合体レベルの変動(Immune complex)
- 「膠原病・自己免疫疾患」(案)についての提案
- A Study on Elimination of Nasal Carriage of MRSA and Recolonization
- Comparison of therapeutic plasma exchange and hydrophobic amino acid adsorbent therapy in management of rheumatoid arthritis.
- Development of an Enzyme-Linked Immunosorbent Assay for the Determination of α1-Antichymotrypsin in Serum and Cerebrospinal Fluid
- タイトル無し