サイアザイド薬長期投与の代謝面におよぼす影響
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概要
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5年間連続してサイアザイド薬(サ薬)を投与した高血圧114例(サ群)と,サ薬非投与で5年間観察した131例(対照群)を対象として,糖負荷試験,血清インスリン値,尿酸値, K値,総コレステロール値を,治療前と5年後,および両群間で比較した.また治療中に何等かの理由でサ薬投与を中止した別の102例についてその理由を調査した.糖負荷試験時の血糖値は,サ群では投与前と5年後で有意差は無かつたが,対照群では,僅かではあるが有意の低下が見られた.耐糖能の型別の推移を見ると,サ群に比し対照群で改善例が多く見られた.すなわち,サ群では対照群に見られる耐糖能の改善は認められないが,サ薬が耐糖能に対し明瞭な悪影響を有するとは云い難かつた.インスリン分泌能は両群とも有意の変化は認められなかつた.血清K値には,両群とも有意の変化は認められなかつた.血清尿酸値はサ群では投与後有意に上昇し, 5年後の上昇幅の平均は1.0mg/d1であつた.対照群では不変であつた.高尿酸血症の頻度もサ群で著増し,血清尿酸値8.5mg/dl以上の者が0から11.4%となつた.対照群では不変であつた.血清コレステロール値は,サ群では不変であつたが,対照群では僅かではあるが有意に低下した.サ薬中止の理由のうち,サ薬の代謝面への影響と考えられるものとして,痛風又は高尿酸血症(19例),耐糖能悪化(1例),低K血症(3例)があつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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藤井 潤
朝日生命成人病研究所
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今鷹 耕二
朝日生命成人病研究所循環器科
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今鷹 耕二
朝日生命成人病研究所
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藤井 潤
朝日生命成人病研
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伴野 祥一
朝日生命成人病研究所
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関 顕
朝日生命成人病研究所
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高橋 伸夫
朝日生命成人病研究所
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