糖尿病におけるレニン・アンジオテンシン系
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概要
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腎機能正常な糖尿病(DM)患者および腎不全あるいはネフローゼ(ネ)症候群を示すDM患者の血漿レニン活性(PRA)を測定し,それぞれ正常対照者および腎炎性腎不全ならびにネ症候群患者と比較した.安静時PRAは腎機能正常DM患者のうち,非神経障害例では正常対照者と差を示さないが,神経障害例では著明に低下していた. DM患者において, PRAと平均血圧との間には有意な負の相関関係がみられたが,神経障害例のPRAは高血圧の有無にかかわりなく,非神経障害例の約20%と低下し,起立またはfurosemide静注に対するPRA増加量(ΔPRA)も有意に減少していた.また,起立1時間後の心拍数の変化とΔPRAとの間には高度に有意な正の相関関係が認められ,神経障害例では心拍数増加も著明な減少を示した.なお神経障害を有するDM患者にみられた血清K上昇はPRA低下に伴う二次的なものと考えられた. DM性腎症による腎不全あるいはネ症候群患者では, 1例を除き全例に神経障害がみられ,安静時PRAはそれぞれ腎炎性腎不全あるいはネ症候群患者に比し,有意に低値を示した.神経障害のないDM性腎不全患者のPRAおよび起立によるΔPRAは共に正常であつた.循環血液量は腎機能正常DM患者と正常対照者との間には差がなく,腎不全およびネ症候群では, DM性,腎炎性共に同程度のそれぞれ有意の増加および減少を示した.以上の所見から, DM患者におけるレニン・アンジオテンシン系の抑制は,主として神経障害に起因すると考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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