Subacute Myelo-Optico-Neuropathy (SMON)に合併した脊髄硬塞の2剖検例
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概要
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Subacute myelo-optico-neuropathy (SMON)の臨床診断のもとに治療中,脊髄硬塞を来たした2剖検例を報告した.症例1は経過中に再燃,視神経炎, Leriche症候群を来たし, 4年後に死亡,症例2は再燃増悪の時期に一致してRaynaud現象を来たし1年3カ月の経過で死亡した.これら症例にみられた再燃は臨床的には非典型的であり,その後の経過も可成り複雑であつた.著者らのSMON再燃症例(23症例,延32回)の分析からこのような非典型的再燃の場合には,他臓器の疾患や他の神経系疾患の合併や増悪によるものである可能性があり,典型的再燃に比べより慎重な鑑別が必要であることを述べた.また神経病理学的には,本症例のSMON病変が脊髄硬塞による二次的な所見であるとするよりは, SMONに特有なsubacute combined degenerationの病変に脊髄硬塞(症例1は下胸髄上腰髄,症例2は頚髄)があとから加つたと考えるのが妥当である.またSMONの神経症状の中から脊髄硬塞によると思われる神経症状を抽出した.中でも症例1では脊髄壊死の出現とともに異常覚が軽快したと考えられることから,知覚障害の伝播に脊髄知覚神経上行路の役割の大きいことを述ベた.最後に脊髄硬塞,とくに頚髄より上胸髄部病変とRaynaud現象出現との関係を論じ,脊髄側角細胞病変と本現象との間には何らかの関係があることを示唆した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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藤原 哲司
京都大学医学部附属病院中央検査部
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荻野 耕一
京都大学医学部内科学第三講座
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斉田 恭子
京都大学医学部第三内科
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藤原 哲司
京都大学医学部第三内科
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荻野 耕一
京都大学医学部内科学
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藤原 哲司
京都大学医学部内科
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