糖原病に合併したと思われるfamilial juvenile nephronophthisisの1例
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概要
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24才の女性.慢性腎不全の状態で入院し82日目に死亡.患者は幼少時より発育遅延があり, 14才時に肝生検にて糖原病の診断を受けている.その剖検所見では著明な肝腫,組織学的には肝細胞の膨化,核水腫等が認められ,陽性物質の異常な蓄積と集合像が特徴的であり,本物質は唾液消化試験陽性で糖原病に一致するものであつた.一方,腎は高度に萎縮しその割面で髄質内に限局した数コの嚢胞形成が認められ,組織学的にはperiglomerular fibrosis,間質の円形細胞浸潤と線維化,尿細管の萎縮または嚢胞様拡張等が特微的であつたが, foam cellの出現や糖原沈着は認められなかつた.本例の両親は血族結婚で,同胞7人中1人(27才,本例の姉)は当時慢性腎炎にて加療中で,その臨床像,腎生検像,腎機能所見等程度の差こそあれ本例と極めて類似するものであつた.以上より本例は糠原病に家族性腎疾患,とくに臨床検査,病理学的所見,臨床像の推移等よりFanconiのいうfamilial juvenile nephronophthisisの合併したものと考えられた.
著者
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平木 潔
岡山大学医学部平木内科
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岩崎 一郎
岡山大学医学部平木内科
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小川 勝士
岡山大学医学部第2病理
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難波 昌弘
岡山大学医学部第二内科
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辻田 源伍
国立岡山療養所内科
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喜多島 康一
岡山大学医学部平木内科
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喜多島 康一
岡山大学医学部第二内科
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高橋 功
岡山大学医学部第二内科
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園部 宏
岡山大学医学部第二病理学
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小川 勝士
岡山大学医学部第二病理学
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