癌を中心とした内科的疾患における血清および胃粘膜の乳酸脱水素酵素アイソザイムについて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
免疫化学的方法,あるいは,電気泳動法等を用いて,乳酸脱水素酵素(LDH)アイソザイムの存在することが認められているが,その臨床的意義について検索するため,寒天ゲル泳動法により血清LDHアイソザイムを測定し,またそのアイソザイムパターンの変動機序について組織のパターンと比較しつゝ考察を行なつた.急性肝炎では肝細胞よりの逸脱によるLD1が血清中に増加し,癌および白血病等の悪性腫瘍ではLD3の増加が特異的である.このLD3の増加は腫瘍組織における酵素の過剰産生が主要な因子であると考えられる.ついで,胃癌の生化学解明の一端として,胃粘膜のLDHアイソザイムの測定を行なつたが,胃癌の好発する小弯側では,嫌気的条件に適応するM型subunitに富むLD1, LD2が多くて好気的条件に適応するH型が少なく,大弯側では, M型が少なくてH型が多く,癌組織ではM型がH型に比し多い.これはWarburgの癌における解糖亢進という成績と一致する結果であると同時に,胃粘膜においてもGreenstein第1および第2法則が適用されることを示すものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
浅野 健夫
岡山大学医学部平木内科教室
-
小野 昌利
岡山大学医学部平木内科教室
-
福留 正郎
岡山大学医学部平木内科教室
-
高安 正雄
岡山大学医学部平木内科教室
-
鷹野 護
岡山大学医学部平木内科教室
-
和気 由紀子
岡山大学医学部平木内科教室
-
宇都宮 俊裕
岡山大学医学部平木内科教室
-
浅野 健夫
岡山大学医学平木内科教室
関連論文
- 癌を中心とした内科的疾患における血清および胃粘膜の乳酸脱水素酵素アイソザイムについて
- 担癌生体にかんする酵素化学的研究 : Lactic dehydrogenaseにかんする実験的臨床的研究
- リンゴ酸脱水素酵素のアイソザイムに関する研究-1・2-
- リンゴ酸脱水素酵素のアイソザイムに関する研究 第1編 ヒト各種臓器のリンゴ酸脱水素酵素活性及びアイソザイムについて
- 線維芽細胞抑制剤クロロキンによる悪性腫瘍の治療にかんする基礎的ならびに臨床的研究
- リンゴ酸脱水素酵素のアイソザイムに関する研究 第2編 ヒト血清及び発育過程におけるラット臓器のリンゴ酸脱水素酵素アイソザイムについて