担癌生体にかんする酵素化学的研究 : Lactic dehydrogenaseにかんする実験的臨床的研究
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概要
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担癌生体における血清酵素化学的研究,特に会糖経路に関する研究は多く,数種の酵素については既にその診断的意義も認められている.この解糖系酵素の中で,惡性腫瘍につき特に重要なlactic dehydrogenaseについて担癌動物および癌患者の血清中の活性値を測定し,その臨床的意義に関する検討を行なつた.血清1actic dehydrogenaseはマウスおよびラッテにける実験的発癌過程において漸次上昇し,癌発生と共に最高に達する.また胃癌患者では癌の拡がりと密接な相関を示し,その他の癌,白血病,急性肝炎等でも活性上昇がみられる.一方良性胃疾患,肺結核,慢性肝炎,肝硬変症,再生不良性貧血等では上昇せず,鑑別診断に有用である.またこの血清lactic dehydrogenase上昇機序の解明に組織培養法を用いて検索した結果,従来いわれてきた細胞内酵素の逸脱,代謝異常による産生増加等の他,癌細胞の細胞膜透過性の変化の存在をも示唆する成績が得られた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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