結核性心膜炎による腹壁流注膿瘍
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概要
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既往に湿性肋膜炎,腰椎カリエス(流注膿瘍形成),肺結核等の結核性疾患を経過した38才の主婦が,約2年半ほどの胸部の圧迫感や,疼痛の後,突然,上腹部に激痛と膨隆が現われて来診した.上腹部中央の半小児頭大の腫瘤と, さらに1週後に現われた左下腹部の鵞卵大の腫瘤の性状につき種々検索を試みた.まず,腹腔内臓器との関係は認められない.次に, 試験穿刺により,両腫瘤から同一の濃い血性膿汁が得られたので,腫瘤のウログラフィン造影を行なつたところ,腫瘤は腹壁にあり,かつ両腫瘤は瘻管によつてつながつていた。またこの患者は胸部X線像で,心陰影の拡大と心膜の石灰沈着があり,心膜炎の存在を認め,心膜腔穿刺を試みたところ,腹壁腫瘤から得たと全く同様の穿刺液が得られた.臨床検査所見で特徴的なものはない.心膜腔と腹壁腫瘤との交通については確認出来なかつたが,既往症と,緩慢な経過から,陳旧な結核性心膜炎が穿孔して出来た腹壁への流出膿瘍であろうと診断した.(附記)この診断は事後の手術によつて確認された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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