後腹膜に転移し興味ある経過を辿つたDysgerminoma ovariiの1例
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概要
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患者は26才の女.卵巣癌として右卵巣摘出術をうけたあと,1年余の間に2度上腹部に小腫瘤が現われたがX線照射で消失した.術後約2年して心窩部に児頭大の腫瘤が現われ,卵巣癌の肝転移と考えられたが,腫瘤の表面に胃の振水音を聞いたことに端を發し,胃透視とくに側面撮影によりこれが後腹膜腫瘤であることがわかつた.各種X線検査を行なつているうちに腫瘤は自然に消失したが, 4カ月後再び前と同様の心窩部腫瘤が現われた.開腹するも摘出は不能で,その際の試験切除標本によりDysgerminoma ovariiの後腹膜転移であることが明らかにされ,前に卵巣癌といわれたのは本腫瘍の誤りであることがわかつた。治療としてカルチノフィリン,MH,クロモマイシンは無効であつたが,X線照射が著効を奏し腫瘤は消失して術後7年なお健在である.経過中,腫瘤の自然消失を見たのは検査によるX線照射に敏感に反応したためと解される.血清アルカリフォスファターゼ活性が軽度上昇していたが,腫瘤消失とともに正常化した.
著者
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銅直 春雄
九州大学医学部心療内科
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安部 宗顕
九州大学医学部第3内科学教室
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井上 幹夫
九州大学医学部第三内科
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岡崎 通
九州大学医学部第三内科
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城谷 堅一
九州大学医学部第三内科
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中島 明
九州大学医学部第三内科
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田中 正一
九州大学医学部第三内科
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中島 卯一
九州大学医学部第三内科
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銅直 春雄
九州大学医学部第三内科
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中島 明
九州大学医学部桝屋内科
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