中枢神経性肺水腫に関する実験的研究 第2編 : 視束前野および視床下部破壞時における血中カテコール体の変動について
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概要
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視束前野破壊による肺水腫は頚髓切断により発生が阻止され,破壊時の循環動態の変化がアドレナリン大量靜注時の変化と一致していることより,視束前野破壊効果は交感性であり,そのインパルスは脊髓交感神経系を経て身体末梢に傅達されると思われる.これをさらに確実ならしめるために,血中カテコール体の化學的定量を行なつた.すなわち視束前野破壊時の血中カテコール体の量は対照群および視床下部破壊群のそれに比しきわめて増加を示しており,アドレナリンによる肺水腫発生時の血中カテコール体と同濃度に達しうるものがあつた. 以上より視束前野破壊による肺水腫は,交感神経系の興奮に基づく循環動態の変化に成因を求めることができると考える.視束前野破壊時の血中カテコール体の量は,対照群および視床下部破壊群に比し,きわめて増量しており, アドレナリンによる肺水腫発生時の血中カテコール体の量に達しうるものがあつた.また靜注したアドレナリンは時間の経過とともにすみやかに減少し,通常20分以内に消失することが明らかにされた。よつて著者は視束前野破壊による肺水腫の成因は,交感神経系の興奮により惹起された循環動態の変化の結果であると思つている.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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