回転円錐周りの流動状態
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概要
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静止した円筒内で共軸の円錐を回転させ, 円錐周りの流動状態を可視化して観察した.円錐を適当な回転数で回転させると, 環状部の一部では流れは層流の旋回流となり, 他の部分ではテーラー渦が形成される.このように一つの空間内で幾つかの異種の流動様式が安定に共存し, 相互に干渉するため特異な流動状態が惹き起される.観察された流動状態によって, 7種の流動様式が確定され, 各領域を示す流動状態図が得られた.状態図の座標は代表量として円錐の角速度と外円筒半径を用いて定義されたレイノルズ数と, 円錐の局所半径と外円筒半径の比で定義された相対半径である.<BR>7種の流動様式は次のように特長づけられる.<BR>I. 旋回層流II.層流テーラー渦, 渦の界面は層流域Iに向って移動し, 層流域に滲透した渦は粘性消散される.III.静止界面をもつテーラー渦, 環状部に形成される渦の数には履歴効果がある.IV.乱流テーラー渦, 渦の堺面は変形し, 最も消散の大きい領域へ向って移行する.V.螺線状渦, 乱流テーラー渦から完全乱流域へ向って放出される.VI.不安定流動, その流動様式は明確には規定できない.VII.完全乱流.<BR>回転円錐系のテーラー遷移に対する臨界値が合理的に定義され, 回転円筒系に対する臨界テーラー数と一致した.<BR>上記の領域IIにおけるテーラー渦界面の移行は2次元平面で点源からの湧き出し流れに対するラグランジアン表示と類似の相関式で表され, 一般化座標上で<I>Re</I>や円錐 (2種類) の形状には依存しない.さらに, 右巻き, 左巻き渦の位相周期が測定され, 一般化座標上の特定の値を用いて現象論的に相関された.この相関式を用いて渦の大きさが求められた.渦の大きさは円錐軸上の位置と<I>Re</I>に依存し, 計算値と測定値はよい一致を示す.<BR>回転円錐と回転内円筒のトルクを直接測定した.円錐に対して局所円筒近似を適用して, 円筒に対する相関関係を基に回転円錐のトルクを推算した.計算値は測定値とよい一致を示す.
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