肝細胞癌146例における凝固線溶動態の検討
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概要
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肝細胞癌146例において凝固線溶動態を解析した.肝細胞癌は肝硬変症に比し,凝固因子,凝固線溶阻止因子は保たれ,末期の症例では凝固線溶亢進状態が認められた.その要因として腫瘍の増大,遠隔転移,endotoxemia,腫瘍塞栓などがあげられた.高度の腫瘍塞栓形成例では,FDPの上昇,硫酸プロタミン試験の陽性化がみられ,うち4例では慢性型播種性血管内凝固症候群(DIC)に類似した所見を呈した.DICと診断されたのは他の6症例で,腫瘍壊死,感染症および第IX因子製剤輸注が誘因として推測された.肝動脈塞栓術直後(1〜3日)では一過性にfibrinogenやFDPの増加がみられた.これに対し肝動脈内制癌剤投与では4日後以降の血小板減少のみを認めた.肝予備力を反映する凝固検査としてはprothrombin時間,Hepaplastin test, antithrombin IIIおよびα<SUB>2</SUB> plasmin inhibitorが推奨された.肝細胞癌および肝硬変症ではfibrinogenの質的異常が示唆された.
著者
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