肝疾患の進展に伴う肝表面血管構築の検討
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概要
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慢性肝疾患の進行に伴う肝血管系の変貌とその病的意義を明らかにする目的で,拡大腹腔鏡を用いて肝表面血管の変化を観察し,肝生検像と対比検討した.対象はウイルス性慢性肝疾患247例で,門脈枝の数,大きさ,動脈枝の数,網目様構造の形成,蛇行の有無の各項目を各々3段階に分けて検討した.門脈枝の数は小葉改築傾向を伴う慢性肝炎活動型で最も多く,肝硬変になると減少したが,肝硬変で巨大な門脈枝が観察された.動脈枝の数は疾患の進展に伴って増生し,特に進行した肝硬変で著明であった.網目様構造の形成は肝硬変に特徴的であるが,病変の進行に従い顕著になった.動脈枝は小葉改築と共に蛇行し,病像の進行と軌を一つにしていた.さらに食道静脈瘤の形成・増悪に伴い門脈枝は減少し,動脈枝が増生した.以上,慢性肝疾患時の肝表面血管は病態により特徴的な所見を示したが,これは組織像と一致しており,内部の状態をよく反映するものであった.
著者
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