肝硬変症に於けるエンドトキシンの研究第4報:肝硬変症に於けるエンドトキシン血症と食道静脈瘤破裂に関する臨床的観察

概要

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Endotoxinの生物学的作用の中には,これを静注すると,少量でhepatic venuleを収縮させ門脈圧を数倍に上昇させる作用がある.我々は人の肝硬変症に於いても,Endotoxemiaが門脈圧を上昇させ,食道静脈瘤破裂の助長因子となる可能性があると考え,肝硬変症例49例ついて,Endotoxemiaの程度と血中エンドトキシン測定日より一定期間内の食道静脈瘤破裂頻度との関係を検討した.Endotoxin測定日より,前後3,6,12ヵ月の破裂頻度は,全ての期間でEndotoxemia 2 (+)以上群が最高で(-)群の約2倍であった.また,前後6ヵ月のEndotoxemia 2 (+)以上群の破裂頻度は52.4% (11/21)で(-)〜(+)群の25.0%(7/28)に比して有意に高率であった(p<0.05).更に,測定日以降の破裂頻度でも,2 (+)以上群は3,6,12ヵ月の全ての期間で(-)群より高率であった.一方,Endotoxemiaと食道ファイバーでの静脈瘤上のred sign出現率との関係でも,2 (+)以上群は77.8% (7/9)と,(-)群の23.1% (3/13)に比して有意に高率であった(p<0.02).
社団法人日本肝臓学会の論文