原発性肝血管内皮腫の1剖検例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
24歳の男性で,乳幼児にみられる血管内皮腫の組織学的特徴を備えた原発性肝血管内皮腫の1剖検例を報告した.主な臨床症候は著明な肝腫と腹水の貯溜で,発症より約2年,腹水発現より1年4カ月後に吐血を来たして死亡した.剖検上,肝は3590gで,直径0.5〜1.5cmの中心部赤紫色,周辺部灰白色の結節が肝全体に多発して認められ,特に左葉では線維化が著しく,一部は瘢痕化していた.乳幼児にみられる肝血管内皮腫は先天的なもので,その多くは生後36時間から4歳半までに発症するとされ,また,本腫瘍は組織学的には良性であるが腫瘍の急速な発育のためその殆んどは発症より6カ月以内に死亡するとされている.本症例は本腫瘍が極めて緩除に発育する場合のあること,または長期間潜在性に経過する場合のあることを示唆するものである.
著者
-
原田 俊則
山口大学医学部第1内科
-
西明 義晃
社会保険小倉記念病院消化器内科
-
牧坂 泰治
社会保険小倉記念病院消化器内科
-
松浦 宏
社会保険小倉記念病院消化器内科
-
松原 龍男
社会保険小倉記念病院消化器内科
-
松原 宏
山口大学医学部第1病理
関連論文
- 化学治療せず長期間生存した肝細胞癌の2症例
- 肝がんの化学療法 : I. 制がん剤の肝動脈内注入による肝細胞がんの治療
- 長期間生存した原発性肝癌患者の臨床的検討
- 肝炎から肝細胞癌への進展過程にみられる血清Alkaline phosphatase isoenzymeの変化
- 9. 胃の壁細胞の機能と Carbonic anhydrase について
- 原発性肝血管内皮腫の1剖検例
- 制癌剤投与により腫瘍が完全に壊死に陥ったと考えられる原発性肝細胞癌の1症例
- 肝障害時の腎 腎障害発生の免疫学的考察
- 特異な症状を呈した亜急性肝炎の1症例
- CELL-MEDIATED IMMUNE RESPONSE IN PATIENTS WITH CHRONIC LIVER DISEASES