肝細胞壊死発生過程における蛋白合成調節機構の異常 : I. 四塩化炭素投与によるマウスの肝細胞デオキシリボ核酸,リボ核酸および蛋白量の変化
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概要
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肝細胞壊死発生機序を解明するための一つの試みとして,マウスの急性四塩化炭素障害肝を用い,細胞の生命を支える基本的な高分子物質であるDNA, RNAおよび蛋白質の定量的変化について検討した.肝総DNA量は四塩化炭素投与後24時間で最低値に達し,その後増加して72時間では前値以上となった.これは壊死による細胞数の減少と,再生による増加とを反映しているものと解される.mgDNAあたりRNA量も24時間で最低値を示しその後増加したが,72時間では前値よりなお低値であった.これに反してmgDNAあたり蛋白量は24時間までほとんど変化を示さず,その後72時間まで減少を続けた.これらの所見から,四塩化炭素障害肝の蛋白合成調節機構はかなり強い障害をうけていることが推定され,この調節機構の障害が細胞壊死発生の直接原因の一つではないかと推論した.
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