肝細胞壊死発生過程における蛋白合成調節機構の異常 : II. 四塩化炭素投与によるマウスの肝細胞リボゾームの減少とポリゾームの解重合現象
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概要
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四塩化炭素投与により肝壊死が発生する際,肝RNA量は著明な影響をうけることが知られている.肝細胞RNA量の70%以上をリボゾームRNAが占めているので,マウス肝のリボゾームの変化について検討した.四塩化炭素投与後24時間で膜結合型リボゾーム量は0.37±0.02mg/g肝と,正常肝の1.10±0.07mg/g肝に比して著明に減少した.これに反して障害肝の遊離型リボゾーム量の有意の減少は認められなかった.庶糖密度勾配遠沈法によりリボゾームの分布型を検討すると,障害肝で著明なポリゾームの解重合現象が認められた.しかしポリゾームRNAを抽出してその分布型を検討したところ,正常肝と障害肝との間には有意な差が認められなかった.四塩化炭素投与によりリボゾームの絶対量が減少するのみでなく,ポリゾームの解重合現象が現われることは,蛋白合成翻訳過程の重大な障害が生じていることを示唆している.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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