肝細胞壊死発生過程における蛋白合成調節機構の異常 : III. 四塩化炭素投与によるマウス肝細胞の翻訳過程における蛋白合成系因子の活性低下
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概要
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四塩化炭素投与により,肝リボゾーム量が減少するのみでなく,ポリゾームの解重合現象が生ずることが知られている.本研究では無細胞系での蛋白合成実験により,正常および四塩化炭素障害マウス肝の,翻訳過程に働く蛋白合成系因子について検討した.内因性mRNAを鋳型として利用する実験系では,障害肝リボゾームの著明な活性低下が認められた.しかし鋳型としてpoly(U)を用い,高Mg<SUP>++</SUP>濃度(10mM),即ちペプチド合成開始因子を必要としない条件下においては,障害肝リボゾームの活性低下は認められなかった.従って障害肝リボゾームの見掛け上の活性低下は,ペプチド合成開始因子の障害にもとずくものではないかと考えられる.障害肝ではその他に,pH 5酵素分画およびPH 5上清分画の活性低下が認められた.蛋白合成の翻訳過程の障害が,細胞壊死発生に対して,非常に重要な意味をもっているのではないかと推論した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
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