石炭ガス化後のガス中の硫化水素吸収剤の開発 : 鉄鉱石の脱硫反応特性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
石炭ガス化後のガス中の硫黄化合物, とくにH<SUB>2</SUB>Sの吸収除去剤の確立の資とするために, 脱硫剤の1種として酸化鉄系に着目し, 天然の鉄鉱石類「ヘマタイト (α-Fe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>系) とマグネタイト (Fe<SUB>3</SUB>O<SUB>4</SUB>系) 」の脱硫反応特性を, 合成酸化鉄 (α-Fe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>) と比較して検討した.すなわち, 常圧流通式の固定層反応器を用い, 400〜500℃ (主として400℃) で脱硫活性等を評価した.入口ガスは, H<SUB>2</SUB>S (500〜2000ppm, 脱硫活性比較のため主として500ppm) -H<SUB>2</SUB> (12.5〜50%) -H<SUB>2</SUB>O (11.8, 19.3%) -N<SUB>2</SUB>, 総流量は, 平均粒径1.0mm (一部0.7mm) 脱硫剤 (0.5〜4.0ml, 主として0.5ml) に対し200cm<SUP>-3</SUP>N・min<SUP>-1</SUP>, 空間速度は, 主として2.4×10<SUP>4</SUP>h<SUP>-1</SUP> (0.5ml充填) である.<BR>得られた主な結果は, つぎの通りである. (1) 前焼成あるいは未焼成 (乾燥のみ) の鉄鉱石類の脱硫活性は, その銘柄 (産地) によって著しく異なり, マグネタイト類はヘマタイト類よりもかなり劣る. (2) 合成酸化鉄の脱硫活性は, 鉄鉱石類よりもかなり優れており, またFe (NO<SUB>3</SUB>) <SUB>3</SUB>から沈殿調製したFe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB> (N) は, Fe<SUB>2</SUB> (SO<SUB>4</SUB>) <SUB>3</SUB>からのFe<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB> (S) より優れている.これは残留硫黄分の有無が影響しており, 再生に対しても残留硫黄分の除去が必要である. (3) 鉄鉱石類の脱硫活性の向上化ならびに均等化のための前処理法を検討し, ヘマタイトもマグネタイトもH<SUB>2</SUB> (600〜700℃) でFe系まで還元し, 続いてH<SUB>2</SUB>-H<SUB>2</SUB>Oを含む脱硫反応系混合ガスでFe<SUB>3</SUB>O<SUB>4</SUB>系まで脱硫温度下で酸化することによって脱硫活性 [H<SUB>2</SUB>S+ (1/3) H<SUB>2</SUB>+ (1/3) Fe<SUB>3</SUB>O<SUB>4</SUB>→FeS+ (4/3) H<SUB>2</SUB>O] を著しく向上させることができる. (4) 脱硫後のFeS系をO<SUB>2</SUB> (5%) -H<SUB>2</SUB>O (11B%) -N<SUB>2</SUB>混合ガス流中, 脱硫温度から650℃まで定速昇温酸化し, 続いて, (3) のH<SUB>2</SUB>還元処理のサイクル操作で, 操り返し再生使用が可能である.
- 社団法人 化学工学会の論文
著者
-
笠岡 成光
岡山大学地域共同研究センター
-
笠岡 成光
岡山大学工学部 精密応用化学科
-
笹岡 英司
岡山大学工学部 精密応用化学科
-
一尾 朋央
岡山大学工学部 精密応用化学科
-
坂本 昌代
岡山大学工学部 精密応用化学科
-
笹岡 英司
岡山大学工学部 合成化学科
-
笠岡 成光
岡山大学工学部
関連論文
- 銅の含浸担持および共沈触媒上のメタノ-ルのスチ-ムリフォ-ミングの反応特性
- アルカリ沈殿法とオゾン酸化沈殿法によるオゾン分解用酸化マンガン触媒の調製
- 各種金属酸化物-TiO2担持触媒におけるNO,NO2およびNO-NO2等モル共存系のNH3による還元速度
- アンモニアによる還元脱硝用の硫酸鉄(3)系触媒に対する担体と添加物の効果--Fe2(SO4)3-α-Fe2O3-TiO2-MoO3(WO3)共沈触媒の選定
- 石炭チャ-ガス化に対する触媒とその耐硫黄性
- 各種石炭チャ-の二酸化炭素によるガス化の活性評価ならびにスチ-ムによるガス化との比較
- 多孔質炭素によるSO2酸化収着脱硫プロセスにおける共存NOとH2Oの炭素ガス化促進現象
- 石炭ガス化後のガス中の硫化水素吸収剤の開発--鉄鉱石の脱硫反応特性
- 低温乾式同時脱硫・脱硝触媒プロセスの開発
- ルテニウム担持触媒上の1酸化炭素および2酸化炭素のメタン化の反応特性--主として残留塩素の影響と脱塩素処理の効果