高速液体クロマトグラフィーによる乳, 粉乳および植物油脂中のビタミンKの定量法
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概要
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HPLCによる乳, 粉乳, および植物油脂中のK<SUB>1</SUB>, K<SUB>2</SUB>の定量法を検討し, 以下の結果を得た。<BR>1) HPLCのカラムは, 市販7種類のODSカラムを比較し, K<SUB>1</SUB>, K<SUB>2</SUB>の分離能が最も優れていたYMC-PACK A-314を選択した。移動相は, エタノール-水 (99: 1) が適当であった。<BR>2) 調粉以外め試料では, HPLCの前処理として, ヘキサンーエチルエーテル (1: 1) で抽出したのちに, シリカゲルカラムにKを吸着し, ヘキサンーエチルエーテル (97: 3) で溶出することによって, 油脂とKを分離できたが, この際の油脂負荷量についても検討した。この結果, 1回の吸着-溶脱で, クリーンアップ操作を完結できた。<BR>3) しかし調粉では, リパーゼ処理によって油脂を分解したのちに, ヘキサンで抽出する操作が必要であった。<BR>4) ポストラペルに用いた水素化ホウ素ナトリウムは, 試薬調製後の時間経過とともにKの測定値が低下するので, 長時間の連続測定を行なう場合には, 誤差補正が必要であった。<BR>5) 生牛乳のシリカゲル処理, 調粉のリパーゼ処理によって繰返し測定, 添加回収試験を行ない, いずれも満足すべき結果が得られた。<BR>定量限界は, 液状乳で0.2μg/l, 全粉乳で1μg/kg, 植物油脂類で2μg/kg, 調粉で2.5μg/kgであった。<BR>6) 乳, 粉乳および植物油脂のK<SUB>1</SUB>, K<SUB>2</SUB>は支障なく測定が可能であった。<BR>生牛乳, 殺菌乳ならびに全粉乳ではK1よりもK<SUB>2</SUB>がかなり多く, 人乳ではK2よりもK<SUB>1</SUB>のほうがやや多い結果を得た。植物油脂からはいずれもK<SUB>2</SUB>は検出されなかった。K<SUB>1</SUB>は, ヤシ油では検出されず大豆油に著しく多く含まれていた。
著者
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八尋 政利
雪印乳業 (株) 技術研究所
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浜本 典男
雪印乳業 (株) 分析センター
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下田 幸三
雪印乳業 (株) 分析センター
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佐藤 孝義
雪印乳業 (株) 分析センター
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浅居 良輝
雪印乳業 (株) 分析センター
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