牛乳, 乳製品に含まれる各種形態のカルニチン量
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概要
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牛乳, 乳製品の各種形態Cを測定し, 以下の結果をえた。<BR>1) 生乳は全-Cとして166nmol/g量を含んでいたが, 長鎖結合型-Cは少なく, 遊離-Cと短鎖結合型-Cの割合は, ほぼ1: 1の構成を示した。<BR>2) 殺菌牛乳, ヨーグルト類の各種形態Cは, 含量. 構成とも生乳に類似するものであった。<BR>3) LL牛乳の全-C量は生乳と差がなかったが, 遊離-Cの割合がやや多く, 短鎖結合型-Cがやや少ない点で有意差があった。<BR>4) 無糖れん乳は, 全-C量が生乳の2倍程度あり, また遊離-Cの割合が著しく多かったが, 遊離-Cが多い原因は高温長時間加熱による結合型-Cの分解によると考えられた。<BR>5) 低脂肪のコーヒー用クリーム類では, 各種形態Cの割合は, ポーションタイプでは生乳と大差がないものであったが, 缶詰めタイプでは遊離-Cの割合が多く, この原因は加熱による結合型-Cの分解程度の差によると考えられた。<BR>6) バターとチーズはいずれもC含量が著しく少なく, 各種形態Cの割合はともに長鎖結合型-Cが多く, バターでは短鎖結合型-C, チーズでは遊離-Cが少ないのが特徴的であった。<BR>7) 粉乳類ではC含量は多かったが, 各種形態Cの割合は牛乳と大きく異なるものではなかった。C含量は粉乳の種類によって異なるが, 原料乳中のCがそのまま脱水濃縮されたと思われ, 乳糖含量との間に比例関係が成立した。<BR>8) 調粉のC量は製造者によって大きく異なったが, 配合設計の違いによると思われ, 同一製造者の製品では, 各種形態C量のばらつきは少なかった。<BR>製造工程における各種形態Cの変化を検討し, 以下の結果をえた。<BR>9) 瞬間加熱 (約2秒間保持) では, 140℃以上の温度で結合型-Cが分解して遊離-Cを生ずるが, 分解率は小さかった。<BR>10) 保持加熱 (15分間) では, 比較的低い温度でも結合型-Cの分解が進むが, 炭素数の少ない脂肪酸と結合したCが, 容易に分解する傾向を示した。<BR>11) クリーム分離によっては, Cの大部分は脱脂乳に移行し, 脱脂乳の各種形態Cの割合は生乳と大差ない比率を示した。クリーム部分では, 生乳と比較すると遊離-Cと短鎖結合型-Cが減少し, 長鎖結合型-Cの割合が著しく増加して, 全-C量がかなり減少するなどの変化が認められた。<BR>12) バターのCは, 遊離-Cと短鎖結合型-Cはゼーラム部分に存在し, 長鎖結合型-Cはオイル部分とゼーラム部分の両方に存在した。バターのC含量が少ないのは, オイル部分のC量が少ないためであった。<BR>13) 全粉乳, ヨーグルトの製造工程では, 各種形態C量にほとんど変化が認められなかった。