牛乳, 乳製品に含まれるカルニチンの分画定量法
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概要
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牛乳, 乳製品を対象に, Cの分画, アルカリ加水分解の条件ならびに放射能測定用の反応液組成など, Cの分画定量条件を検討した。<BR>1) 分画に用いる過塩素酸溶液は, 2〜6%濃度のいずれによっても, 酸可溶性-C, 酸不溶性-Cの測定値に差を生じなかったが, 清澄な遠心上清がえられる6%濃度 (最終濃度3%) を採用した。<BR>2) 6%過塩素酸溶液 (最終濃度3%) で分画した酸可溶性画分には, 主として炭素数10以下の短鎖結合型-Cが, 酸不溶性画分には主として長鎖結合型-Cが分画されたが, 炭素数8〜12の脂肪酸の結合型は, 少量ながら両画分に移行し, その境界は炭素数で明瞭に区分されるものではなかった。<BR>3) 過塩素酸分画でえられた結合型-Cの加水分解は, 比較的高濃度のアルカリ処理によるのが適当であった。また3.5N KOH中でも, 遊離-Cの損失はみられなかった。<BR>4) 牛乳のCは分画操作, アルカリ処理操作によって希釈され, 放射能測定用の検液50μ1中には1nmol以下となった。微量のCを測定するために, 反応液に含まれるacetyl-CoAの放射能を0.05μCi/5nmolにする必要があった。<BR>5) 反応液にトリス緩衝液を用いると, Cacetyl-transferaseの添加後の時間経過に伴って, 放射能測定値が高くなり, 測定精度が低下するが, リン酸緩衝液ではこの現象を認めなかった。<BR>6) 以上の結果から, Cの分画定量法を設定したが, 測定限界は放射能測定用の検液50μl中のC量として0. 05nmolで, 回収試験, 繰返し精度でも, ほぼ満足すべき結果がえられた。