肥満と食欲調節の分子機構 : レプチンを中心に
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概要
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レプチンは代表的な脂肪組織由来ホルモンであり, 視床下部ニューロンに発現するレプチン受容体を活性化して強力な摂食抑制とエネルギー消費増加をもたらす。レプチンあるいはレプチン受容体遺伝子変異により先天性肥満が報告されている。しかしながら大部分の肥満者では血中レプチン濃度は肥満の程度に比例して増加するため, レプチンは体脂肪量を反映する化学的指標として用いられている。一方, 血中濃度が肥満者と同程度に上昇するレプチン過剰発現トランスジェニックマウスでは, 全身の脂肪組織がほとんど消失するほどの著しい痩せを呈するが, このマウスでは骨格筋や肝臓におけるインスリン受容体シグナリングの亢進を伴う糖代謝亢進や交感神経活動亢進による血圧上昇が認められる。以上より肥満に合併する糖尿病や高血圧におけるレプチンの病態生理的意義と治療薬としての可能性が示唆される。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
- 2003-02-10
著者
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