子宮頸部円錐切除検体の病理診断の検討 : 〜術前細胞診および組織診との比較
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概要
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円錐切除は,子宮頸部の前癌病変(異形成)や上皮内癌を含む初期頸癌病変に対して行われる手術である.特に初期頸癌病変では,縮小手術や妊孕性温存の観点から円錐切除が選択される症例が増加している.しかしながら,細胞診や生検組織診と比較して円錐切除標本と診断の異なる症例の存在,円錐切除後の再発などの問題点もある.今回われわれは,円錐切除症例179例を用いてこれらの問題点について検討した.当院で2003年から2007年までの5年間に施行された円錐切除症例179例(平均40.2歳,24〜78歳)について,術前に施行された細胞診・生検組織診を併せて病理台帳上で検討した.179例全例が,術前の細胞診もしくは生検組織診で円錐切除の適応となる病変を指摘されていた.多くはその両方で病変がみられたが,179例中6例は生検のみ,3例は細胞診のみで病変が指摘されていた.すなわち,生検組織診と細胞診のどちらかで異形成や悪性所見が指摘されなかった症例では,閉経による頸管の狭小や萎縮などの影響や採取手技により診断に十分な細胞や組織が採取されていなかったものと考えられた.また,円錐切除標本では7例で異形成以上の有意病変が指摘されなかった.これらの円錐切除で病変の存在しなかった症例は,元々の病変が小さく,生検組織診で病変が採りきれていた可能性や炎症や再生に伴って出現した異常細胞が異形成または癌と推定されたが,円錐切除の時点では自然消失した可能性も示唆された.円錐切除にて断端が陽性であった15例では再発はなく,断端が陰性であったが,経過中に細胞診で異常のあった14例においては1例で再発がみられた.文献上,円錐切除後の再発には,gland involvementの有無や細胞増殖能などの因子が関与している可能性が推定されている.
- 昭和大学・昭和医学会の論文
著者
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九島 巳樹
昭和大学病院病院病理科
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九島 巳樹
昭和大学病院病院病理部
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九島 巳樹
昭和大病院病理科
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九島 巳樹
昭和大学医学部病院病理科
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秋田 英貴
昭和大学病院病院病理科
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九島 巳樹
昭和大学病院病理科
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秋田 英貴
昭和大学病院病理診断科
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