豚凍結精液作成時のα-トコフェロール添加が融解後の精子活力に及ぼす効果
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概要
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豚凍結精液作成時のα-トコフェロール(α-Toc)添加が,融解後の精子活力に及ぼす効果を検討した.過酸化脂質産生の指標であるマロンジアルデヒド(MDA)量においては,凍結前ではα-Toc添加の有無による差は認められなかった.しかし,融解直後のMDA量はα-Toc無添加区よりも添加区の方が低く,またその後4時間のインキュベーション期間中も添加区ではほとんど増加しなかった.運動精子率は融解後のインキュベーションにより低下したが,α-Toc添加区では無添加区に比べて常に高く維持された.乳酸蓄積量はα-Toc無添加区では時間経過と共に増加したが,添加区では4時間後までほぼ一定であった.一方,アンチマイシンAを添加し,好気的呼吸を阻害した時,乳酸蓄積量にはα-Toc添加の有無による差は認められず,このことから精子の解糖系の活性に差はないと推定された.また,エタノールを添加し,細胞質内NADHを増加させた場合,α-Toc添加区では乳酸/ピルビン酸比が無添加区に比べて低かったことから,α-Toc添加区では細胞質内NADHのミトコンドリア(Mt)への輸送能力が融解後も高く維持されると考えられた.<BR>以上のことから,豚凍結精液作成時のα-Tocの添加によって凍結融解時の過酸化が防がれ,その結果Mtでの好気的な呼吸能がより高く維持されるため,融解後の精子の活力がより長く維持されることが示唆された.
- 日本繁殖生物学会の論文
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