幼児期に発吃した吃音児の追跡調査
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概要
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1. 幼児期に発吃した吃音児86名を対象にした予後調査の結果、30名(35%)の者に、吃音の消失が認められた。2. 吃軽減群の中の消失群に近い印象の吃症状の者も含めると、回復率は、およそ60〜70%である。3. 消失群は、初回来所時の年令が低く、発吃から来所までの期間が短い。反対に、残存群は初回来所時の年令が高く、発吃から来所までの期間が長い。4. 早期の相談指導が有効であることが、以上のことより考えられる。5. 吃音の消失期は、学令期前後に多い。6. 吃音の回復と家族的背景との関連は認められなかつた。7. 残存群には、幼少期における言語の表出面の遅れが認められ、かつ初診時に構音の問題を持つていた者が有意に多く認められた。8. 残存群に女子が含まれていなかつたことから、回復にも性差があるかもしれないことが示唆された。以上、吃音の予後に影響を及ぼす要因について、若干の検討を加えたが、今後さらに検討を加えるべき問題として、母子関係、性格等の心理的側面、吃音の軽快・消失の過程の分析、症状が固定化した吃音児者の器質的側面の検討等があげられる。
著者
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