メタファーから見た失語症者の意昧野の問題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
メタファーは,既知のことばを転用して新しい概念を表現し,意味を拡張していく性質を持つ.本研究は,失語症者40名(流暢型,非流暢型各20名),健常成人40名を対象に,身体語彙(口,手,足)を他の対象物の一部に転用する能力と,教示後の汎化する能力を調べた.方法は,身体語彙の理解を調べた後,対象物の一部を赤く色づけした絵カード42枚を用い,その部分を口,手,足のいずれかに,また,不適切なものは×に分類させた.この他,無意味図形に種々の突出部をつけて,それを身体部位に見立てることと,自動車に各部位を対応づけることを行った.結果は,失語群の反応は,健常群に有意に劣り,課題が困難になるにつれて,ランダム反応が出現した.これは,無意味図形や自動車への対応づけにおいても同様であった.教示後もなお,有意差があり,語を転用する以前の,認知のレベルに問題があることが示唆された.
著者
関連論文
- 1ブローカ失語症者に対する可逆文の構文訓練 : 短い文形式を使用して
- 音韻処理を中心とした伝導失語の訓練
- 意味研究の中のメタファー : その言語心理学的応用
- 失語症者のメタファー能力 : 身体部位を中心として
- メタファーから見た失語症者の意昧野の問題
- 仮名書字を用いた軽度伝導失語の訓練
- Process in Reversible Sentences Comprehension in Aphasics:—Decoding of Word Orders and Complement Constructions—