意味研究の中のメタファー : その言語心理学的応用
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概要
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言語治療学を打ち立てるには,言語学の成果を応用することが肝要である.障害の構造を包括的にとらえ,かつ改善の方法を探ることのできる理論として,I.A.Richardsの意味論を紹介する.その特徴は,メタファーを修辞学の枠を越えて言語に遍在する原理としてとらえ直したことで,それは,語の意味を整理し,具体から抽象へと段階づけて呈示する言語教育に応用されていった.一方メタファーは,発達研究の分野で注目され,多くの実験的研究がなされてきた.失語症についてメタファーの運用能力を調べると,その障害が語の回収の問題というより,レキシコン自体の問題である要素が強い.メタファーの使い方を教示しても正しく汎化しないのは,認知のレベルに問題があり,言語機能を対象とするあらゆる分野において,訓練には,言語と認知の両面から汎化を促進するような方法を取り入れる必要がある.その視点と方法論についても,Richardsd学ぶところが大きい.
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