経卵円窓球形嚢手術による内耳障害の臨床病理学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 目的:経卵窓球形嚢手術の内耳に対する影響を臨床前ならびに実験的に追求し,内耳手術の可能性について考察を加えた.2. 実験法:a) 臨床例としてはメニエール病患者でsacculotomy 10例,tack operation 2例,およびosmotic in-duckion法をおこなった2例と,耳硬化症でstapedectomyをおこなつた2例の計16例で検討した.b) 実験的には成熟モルモットを使用して,種々の経卵円窓手術をおこない,術後の平衡機能検査を施行,いろいろな術後時点で側頭骨連続切片を作製し,cochlear and vestibular reconstructionを行なつて病理所見と検査所見を対比した.3. 結果:a) 動物実験での経卵円窓内耳手術による内耳障害は内耳炎によるものであり,無菌性でも感染性でも起つた.b) 実験動物に対する術後の平衡機能障害は例頭骨病理で変化が生ずる前にすでに機能検査では障害が推定された.c) 動物のsacculotomy後のataxic testでは障害は軽度で,病理上は耳石系障害に留まつた.d) メニエール病に対するsacculotomyでは前庭系障害をきたさず,蝸牛系障害をきたすことが多いが,正常耳に対するsacculotomyは前庭系障害が主で蝸牛系障害は少ない.e) 臨床的内耳の部分障害では,術後,水平性視方向性注視眼振をみることがある.f) 経卵円窓内耳手術は感染防止に留意すれば,術後の病理的変化を最小限におさえることができ,有効な手術的アブローチのひとつと考えられる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
関連論文
- 1.中耳および内耳疾患における側頭骨の形態学的検討/2.末梢平衡感覚器における抗生物質障害の実験的研究/3.Stria vascularisとPlanum semilunatum の比較検討/4.筋弛緩剤による前庭性外直筋活動の機構/5.反復誘発筋電図からみた家兎一側迷路破壊後の筋緊張について/6. 迷路と視器の干渉について/7.カエル摘出半規管受容器のAdaptationについて/カエル球形嚢神経および外半規管膨大部神経の動作流に関する知見/9.頭位変化と眼球偏
- 1.前庭感覚上皮の受傷性について/2.耳中毒性薬物による内耳病変/3.免疫学的手法による実験的平衡障害/4.前庭性外直筋活動について/5.平衡機能検査成績の経過観察/6.メニエール病長期観察例より得たる知見
- 前庭器管の基礎的研究一般演題/頭位,頭位変換眼振の診断的意義/自発眼振におよぼす前庭性,視運動性刺激の影響-その1-/自発眼振におよぼす前庭性視運動性刺激の影響-その2-/温度検査と回転検査の成績が解離した場合の診断的意義/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(1)[生理]/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(II)[形態・生化学]/前庭器官の基礎的研究 シンポジウム(III)[病態]/CPC/展示
- 経卵円窓球形嚢手術による内耳障害の臨床病理学的研究
- メニエール病に対するグリセロール試験
- Diagnostic significance of the equilibrium examination as related to toxicity of organic mercury compounds