実験的ラット脳梗塞モデルに対するKC-404の効果
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概要
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ラットの左内頸動脈内にアラキドン酸を注入して作成した脳梗塞は,脳代謝障害と脳浮腫を伴った.3-isobutyry1-2-isopropylpyrazolo[1,5-α]pyridine(KC-404)のこれらの脳障害に対する治療効果,および脳局所血流量に対する影響を検討した.1) 脳代謝:脳梗塞発症後7日目に,特に左大脳半球において有意なATPの減少とグルコースの増加が認められた.正常ラット脳と比べて乳酸およびピルビン酸は有意な変化を示さなかった.KC-404(10 mg/kg, p.o.)を発症後7日目に1回又は6日目と7日目に2回投与すると,ATPの有意な増加と,乳酸の有意な減少を生じた.さらに,グルコースが正常値に近づく傾向が認められた.正常ラットへのKC-404(10 mg/kg, p.o.)の投与は,脳内ATP,グルコースおよびピルピン酸の軽度ではあるが有意な増加を生じた.2) 脳浮腫:脳梗塞発症後4日目に,左大脳半球の水分とNa<SUP>+</SUP>含量およびNa<SUP>+</SUP>/K<SUP>+</SUP>比の増加,およびK<SUP>+</SUP>含量の減少が認められた.KC-404(10 mg/kg, p.o.)を発症の24時間後から3日間投与すると,水分含量の増加が有意に抑制され,電解質の変動が正常化する傾向を示した.3) 脳局所血流量:KC-404(0.05 mg/kg/分, i.v.)の15分間注入は,水素クリアランス法で測定した障害側の大脳皮質局所血流量を正常ラットよりも強く増加させた.以上,KC-404はラットにおいてアラキドン酸誘発脳梗塞の回復期の脳代謝障害および脳浮腫に対して治療効果を示した.さらに,作用機序として障害側の脳局所血流量の増加が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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工藤 善隆
杏林化学研究所
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入倉 勉
杏林製薬(株)中央研究所
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工藤 善隆
杏林製薬(株)中央研究所
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市川 吉光
杏林製薬(株)中央研究所
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杉浦 浩幸
杏林製薬(株)中央研究所
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西納 啓吾
杏林製薬(株)中央研究所
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