Daunorubicinによる実験的ネフローゼラットにおける高脂血症の成因とKCD-232[4-(4-Chlorobenzyloxy)benzyl nicotinate]の作用
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概要
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daunorubicin(DR)をラットに1回尾静脈内投与することによって誘発されるネフローゼ型の高cholesterol(Ch)および高triglycerides(TG)血症の成因を検討するとともにKCD-232[4-(4′-Chlorobenzyloxy)benzyl nicotinate]のDR誘発高脂血症におよぼす影響を検討し,下記の結果を得た.1) DRを3,6または12 mg/kg 1回静脈内投与することにより24日後には,尿中蛋白排泄量,血清総Ch,TG,phospholipids(PL),高比重リボ蛋白Ch(HDL-Ch)および低比重リボ蛋白Chと超低比重リボ蛋白Chの和[(LIDL+VLDD-Ch]の用量依存的上昇が認められた.2) DR(6mg/kg i.v.)は血清総ch,TG,PLをそれぞれ1.85倍,1.75倍,1.65倍上昇させ,またHDL-ch,(LDL+VLDL-Chをそれぞれ1.38倍,2.94倍上昇させた.その結果(LDL+VLDL)-ch/HDL-Ch比で表わされる動脈硬化指数(AI)を2.49倍上昇させた.一方,遊離脂肪酸を逆に低下させる傾向を示した.3) DR(6 mg/kg, i.v.)は肝のCh合成を2.07倍上昇させたが腸管からのCh吸収を抑制する傾向を示した.また静注した[<SUP>3</SUP>H]Chの血中における残存量を1.70倍高めたことからDRによる高Ch血症の成因は肝におけるGhの合成亢進と血中からの消退遅延によることが示唆された.4) DR (6 mg/kg, i.v.)は肝の脂肪酸(FA)合成を2.73倍増加させたこと,血中遊離脂肪酸濃度を低下させたことおよび肝性lipase活性を低下させる傾向を示したことからDR静注によって生ずる高TG血症の成因は肝におけるFA合成の増加によるTG合成の亢進と血中における加水分解の抑制によることが示唆された.5) KCD-232は肝のCh合成を抑制し,血中からChの消退遅延を解除し,さらに腸管からの吸収を抑制して血中総Chおよび(LDL+VLDL)-Chの上昇を有意に抑制した.またAIを著しく改善した.6) KCD-232は肝のFA合成を抑制し,さらには肝におけるFA酸化を亢進してTG合成を抑制すること,さらに脂肪組織由来のlipoprotein lipase活性を亢進してTG分解を促進することにより血中および肝TGを低下させると考えられた.
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