好中球機能におけるTaurineの役割
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概要
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ラット腹腔内より採取した好中球を用い,その貧食・殺菌能および穎粒内酵素lysosomal enzylme遊離に及ぼすtaurineの影響を検討した.taurineは飲料水中に0.3%の割合に溶解して摂取(460mg/kg/日)させた.ラット血清中のtaurine濃度はtaurine投与期間の延長に伴い上昇した.一方,好中球中のtaurine濃度は1および3日間投与では有意に上昇したが,7および10日間投与では対照群に比べ差が認められず,21日間投与では再び著しく上昇した.大腸菌に対する殺菌能は好中球中のtaurine濃度の上昇に伴い増強された.0.03〜3.0% taurine溶液を21日間ラットに摂取させた場合に,0.03〜0.3%では投与量が増加するにつれて殺菌能が増強する傾向が認められ,1.0%では0.3%と同程度であり,3.0%では著しく減弱し0.03%の作用以下であった.殺菌能を最も増強する条件(0.3% taurine溶液の21日間投与により23.8%増強する)において,イースト貧食能も33.4%増強された.このときミ***ペルオキシダーゼの細胞外遊離は76.0%増加した.一方,サイトカラシンB処理およびN-formylmethionyl-leucyl-phenylalanine刺激による顆粒内酵素(β-グルクロニダーゼおよびリゾチーム)の遊離は,0.3% taurine溶液の21日間投与によって10〜20%抑制され,同時に,細胞質酵素である乳酸脱水素酵素の細胞外流出も20%抑制された,また,低張液に対する赤血球膜の抵抗性はtaurine投与によつて明らかに増強(18.0%)された.さらに,好中球膜の流動性membrane fluidityを蛍光偏光解消法で測定したところ,taurine投与によって膜流動性の増大(10.4%)が認められた。以上の成績より,taurineが好中球の膜流動化および膜抵抗性の増強などを介して,その貧食・殺菌能を強化し,生体防御機構に係わる役割を果たしていることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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