誘導刺激薬の皮膚感覚に対する刺激効果
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概要
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誘導刺激薬の皮膚感覚受容器に対する作用を調べ,さらにこの皮膚感覚刺激が運動系に与える影響を脊髄反射を用いて検討した.menthol,nonylic vanillyl amide(NVA)のethanol溶液を皮膚受容野に適用すると,ネコ伏在神経の神経放電が増加し,硬膏剤に含ませて貼付すると,腓腹神経の触・圧・痛に応じる線維では,薬物無添加硬膏剤で見られたような,貼付直後の著明な活動増加が認められたが,それ以後は薬物無添加硬膏剤より有意に高い活動性を示し,触・圧・痛・冷に応じる線維では,その活動性は貼付直後から高く,作用は持続した.圧・痛に応じる線維は貼付後時間の経過につれて活動性は増加したが,温覚に応じる線維に対しては無効であった,又脊髄後角細胞の活動性に対する作用は,皮膚一次求心性神経線維の活動性の経時変化および放電頻度とほぼ同じであった.内側腓腹筋神経刺激で生じる単シナプス反射は,いずれの誘導刺激薬を含む硬膏剤でも,弱いながら有意に抑制され,運動神経細胞では,皮膚の触刺激により抑制性シナプス後電位が認められた例があった.以上の結果より誘導刺激薬はAδ,C多感覚種型侵害受容器,Aδ,C冷侵害受容器,遅順応性皮膚機械受容器等を活性化し,硬膏剤として貼付した場合は皮膚機械受容器の活性化も加わり,興奮する受容器の種類は多くなる.このような誘導刺激薬の皮膚感覚刺激は,運動神経細胞の興奮性を抑制し,脊髄レベルで単シナプス反射を抑制するものと考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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