誘導刺激薬の筋循環に及ぼす作用とその機構
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概要
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誘導刺激薬の未梢循環に対する直接作用並びに,皮膚刺激により反射性に筋循環に与える作用について検討した.menthol,thymol,methyl salicylate(MS)は呼吸,心拍数,大腿動脈および腓腹筋血流量に変化のない量で血圧下降が見られた.menthol,camphor,MSはウサギ摘出耳介血管内への直接投与で血管拡張を生じるが,硬膏剤として皮膚上に貼付した場合,いずれの誘導刺激薬でも殆んど無効であった。一方menthol,camphor,nonylic vanillyl amide(NVA)を含む硬膏剤を,ウサギ後肢皮膚上に貼付すると,腓腹筋血流量は約40%増加し,MSと薬物無添加の硬膏剤でも弱いながら筋血流の増加が見られたが,第13胸髄から第2仙髄までの後根切断により消失した.ウサギ腓腹神経電気刺激で生じる腓腹筋血流の増加は,atropine(1mg/kg,i.v.)の前処置では影響されなかったが,propranolol(40μg/kg,i.v.)ではほゞ完全に抑制された.ネコ浅擁骨神経電気刺激で生じる深橈骨筋血流の増加は,第3頸髄切断後も見られ,この時浅椀骨神経ではAβおよびAδ線維の興奮が認められた.以上の結果より,誘導刺激薬を含む硬膏剤を皮膚上に貼付した場合,経皮吸収された薬物による未梢血管拡張や筋血流増加等,未梢循環系への直接的な影響はないものと考えられるが,皮膚神経を刺激する結果,脊髄に反射中枢を有する体性一自律神経反射を生じ,交感神経性血管収縮神経の緊張性の抑制等,アドレナリンβ受容体を介した筋血流の増加が生じるものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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