誘導刺激薬の筋収縮機構並びに神経系への作用
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概要
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誘導刺激薬の筋収縮機構に対する作用を摘出器宮を用いて調べ,硬膏剤として皮膚に貼付した際の神経の興奮伝導に及ぼす影響について検討した.蛙坐骨神経―縫工筋標本ではmenthol,methyl sali-cylate(MS)で非競合的に可逆性の抑制を受け,蛙腹直筋のacetylcholine(ACh)および電気刺激による収縮も抑制され,camphorでも認められたが,nonylic vanillyl amide(NVA)では大量で非可逆的になった.menthol,MSは高濃度で収縮を生じ,caffeine収縮も増強させ,camphorでも認められた.蛙坐骨神経の興奮伝導はmenthol,calnphor,MSで用量と時間依存性に活動電位高が抑制され,単一神経軸索内記録でもmentholで認められ,細径線維の方が抑制を受け易かった.誘導刺激薬を含む硬膏剤を,ネコ後肢脱毛皮膚に貼付すると,menthol,camphorは貼付30分以後,筋一次求心性神経や運動神経の興奮伝導が弱いながら抑制され,menthol含有硬膏剤では,グループIa,Ib抑制は影響されず,グループII,III抑制だけが著明に抑制された。一般的に使用される量の薬物を含む硬膏剤を貼付した際,経皮吸収されたmenthol,camphor,MSの筋肉内濃度は,それぞれ10〜30,約5,5〜10μg/g tissueであった.以上の結果よりmenthol,camphor,MSは主にNa活性化機構の抑制により局麻効果を発揮し,神経の興奮伝導抑制,神経―筋伝達抑制,ACh受容体膜安定化,筋の興奮―収縮連関抑制等が生じ,これらの作用は大量のmenthol,camphorを含む硬膏剤を皮膚上に貼付しても,薬物が経皮吸収され,弱いながら効果を発揮すると考えられる.いずれの誘導刺激薬も高濃度では,単独で筋収縮を生じ,caffeine収縮を増強する作用がある.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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