Malotilate(diisopropyl 1,3-dithiol-2-ylidenemalonate)のcarbon tetrachloride慢性肝障害に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
malotilateのcarbon tetrachloride(CCl<SUB>4</SUB>)投与により惹起された慢性肝障害に及ぼす影響を調べた.CCl<SUB>4</SUB>を0.5ml/kgの割合で週2回10週間雄性ラットに腹腔内投与した.malotilateは0.2%の割合で飼料に混合して経口摂取させた。CCl<SUB>4</SUB>投与により血漿トランスアミナーゼ活性は上昇し,肝triglycerides(TG)およびmalonedialdehyde(MA)量は8週後まで経時的に増加した,肝コラーゲンの指標である4-hydroxyproline量は10週後まで増加しつづけた.CCl<SUB>4</SUB>投与期間を通してmalotilateを経口摂取させたラットでは,10週後に肝TGがやや増加した以外いずれの指標においても変化は見られなかった.CCl<SUB>4</SUB>投与5あるいコは8週後よりmalotilateを経口摂取させたラットにおいても,これらの指標は10週後にはmalotilate経口摂取開始時より改善されていた.肝病理組織像ではCGl<SUB>4</SUB>投与5週後に脂肪変性と思われる空胞化が認められ,8週後では空胞化とともに明らかな偽小葉の形成が認められた.10週後に空胞化は軽度となったが,偽小葉の形成がより顕著となり明らかに硬変肝像を示した.malotilateを全期間通して経口摂取させたラットでは8週後まではほぼ正常な組織像を示し,10週後に軽度の空胞化を示したのみであった.5週あるいは8週後からmalotilateを経口摂取させたラットでも空胞化や偽小葉の形成の程度が改善された.この様にCCl<SUB>4</SUB>の長期投与によって脂肪肝を経て明らかに硬変肝に至ったが,malotilateは硬変肝への移行を著しく抑制した.一方肝ミクロソームリン脂質への<SUP>14</SUP>CCl<SUB>4</SUB>由来の放射能の共有結合はmalotilate経口摂取によって対照群の70〜80%と低下したにすぎなかった.このことはCCl<SUB>4</SUB>の活性化の抑制だけでここでみられた硬変肝の発症抑制作用を説明することは困難であり,他の作用機構の存在を示唆すると思われたので,その要因について考察を加えた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- MALOTILATE (DIISOPROPYL 1, 3-DITHIOL-2-YLIDENEMALONATE) による薬物性肝障害の抑制
- Malotilate(diisopropyl 1,3-dithiol-2-ylidenemalonate)のcarbon tetrachloride慢性肝障害に及ぼす影響
- Malotilate(diisopropyl 1,3-dithiol-2-ylidenemalonate)のラット肝RNA合成および核RNAの上清への移行に及ぼす影響
- 新しい肝蛋白代謝改善剤の開発経緯とその作用特性
- 殺ダニ剤フェンピロキシメートの開発
- 殺ダニ剤フェンピロキシメートの開発
- 殺ダニ剤フェンピロキシメートの開発
- Malotilate(diisopropyl 1,3-dithiol-2-ylidenemalonate)のラット肝RNA合成および核RNAの上清への移行に及ぼす影響
- Malotilate(diisopropyl 1,3-dithiol-2-ylidenemalonate)のcarbon tetrachloride慢性肝障害に及ぼす影響