2-Carboxymethoxy-4,4-bis(3-methyl-2-butenyloxy)chalcone(SU-88)の胃血流量ならびに循環動態に対する作用
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概要
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新規に合成された抗潰瘍薬2-Carboxymethoxy-4,4-bis(3-methyl-2-butenyloxy)chalcone(SU-88)の抗潰瘍作用の機序検討の一環として,胃血流量ならびに種々循環動態に対する作用を検討した.SU-88はラット交叉熱電対法により検討したところ,静脈内投与により用量依存的に胃組織血流量を増加させ,またイヌの短胃動脈内投与においても胃血流増加作用を示した.イヌの静脈内投与(1mg/kg,3mg/kgおよび10mg/kg)により,SU-88は軽度の降圧と,心拍数増加および呼吸興奮を示したが,それらの作用は速やかに消失し,心電図も心拍数増加に伴うR-R間隔の短縮を示した以外に著変は認められなかった.静脈内投与により,総頸動脈,椎骨動脈,腹腔動脈,上腸間膜動脈および大腿動脈血流量は増加を示し,特に腹腔動脈血流量の増加が著明であった.摘出実験において,SU-88はウサギ耳介灌流量を増加きせ,noradrenalineによる大動脈の収縮を緩解したが,摘出心臓の収縮力,心拍数,灌流量には影響を与えなかった.SU-88の降圧作用はatropine,diphenhydramineおよびpropranololで抑制されず,両側迷走神経切断により影響を受けず,さらに椎骨動脈内投与によっても血圧には影響を及ぼさず,頸動脈洞反射による昇圧にも影響を与えなかった.また動脈内投与による大腿動脈および短胃動脈血流量増加作用はatropine,diphenhydramineおよびpropranololでは抑制されず,aminophyllineの前処置によっても影響を受けなかった.これらのことからSU-88の降圧作用および血管拡張作用は,中枢,自律神経系,histamineおよびadenosine増強作用を介する作用でないと考えられたが,その詳細な機序に関しには今後の検討に俟たねばならない.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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相原 弘和
大正製薬株式会社総合研究所
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佐直 隆一
大正製薬株式会社
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新井 巖
大正製薬株式会社総合研究所開発研究部薬理研究室
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磯部 好彦
大正製薬株式会社総合研究所開発研究部薬理研究室
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佐直 隆一
大正製薬株式会社総合研究所開発研究部薬理研究室
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