ラット脳の神経終末膜電位に対する NH4<SUP>+</SUP> の効果
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概要
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ラット脳の神経終末膜電位を rhodamine 6G螢光法により測定し,これに対するNH4<SUP>+</SUP>の効果を検討した.神経終末は,K<SUP>+</SUP>に対する拡散電位(K<SUP>+</SUP>電位)を示すが,NH4<SUP>+</SUP>に対しても拡散電位(NH4<SUP>+</SUP>電位)を示した.反応液中の Cl<SUP>-</SUP>をSCN<SUP>-</SUP>と置換することにより,K<SUP>+</SUP> およびNH4<SUP>+</SUP>電位は,いずれも脱分極した,反応液中のCl<SUP>-</SUP>をgluconate<SUP>-</SUP>に置換すると,K<SUP>+</SUP>電位は過分極したが,NH4<SUP>+</SUP>電位は変化しなかった.K<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)およびNH4<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)電位は,Cl<SUP>-</SUP>-ATPase阻害剤である ethacrynic acid(EA,0.3mM)添加により,いずれも脱分極し,反応液Cl<SUP>-</SUP>のSCN<SUP>-</SUP>置換によりさらに脱分極し,gluconate<SUP>-</SUP>置換では変化しなかった.Cl<SUP>-</SUP>チャネル阻害剤である picrotoxin(5mM)添加では,K<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)およびNH4<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)電位に有意な変化は生じなかった.また,この時,反応液Cl<SUP>-</SUP>のSCN<SUP>-</SUP>置換では,両電位とも脱分極し,gluconate<SUP>-</SUP>置換では,K<SUP>+</SUP>電位は変化せず,NH4<SUP>+</SUP>電位は脱分極した.picrotoxin およびEAの両試薬添加により,K<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)およびNH4<SUP>+</SUP>(Cl<SUP>-</SUP>)電位は,いずれも脱分極し,反応液Cl<SUP>-</SUP>のSCN<SUP>-</SUP>または gluconate<SUP>-</SUP>置換によりさらに脱分極した.これらの結果から,NH4<SUP>+</SUP>は脳神経終末において拡散電位を形成し,アニオンによる過分極性の膜電位変化を,アニオンチャネル以外の機構により,阻止することが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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