Prednisolone 17-valerate 21-acetate の抗炎症作用およびステロイドホルモン様作用
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概要
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コルチコステロイド外用剤を目的として合成されたprednisolone 17-valerate 21-acetatc(PVA)の抗炎症作用を主にラットを用いて,betamethasone 17-valerate(BV),hydrocortisone 17-butyrate(HB)およびprednisolone 17-valerate(PV)などの効果と比較し,外用剤としての有用性を検討した.カラゲニン足浮腫法,カオリン足浮腫法および肉芽腫法によるPVAの抗炎症作用は,背部皮下投与の場合BV,HBなどと比較し極めて弱く,BVの1/15〜1/45,HBの1/5〜1/15 ,PVの約1/30であった.一方,局所投与によるPVAの効果はBV,HB,PVなどと同等ないし,それ以上であった.また局所投与による肉芽腫法において同時に測定した胸線萎縮作用は,PVAが比較的弱い傾向を示した.さらに,これらコルチコステロイドの軟膏製剤の各種炎症モデルに対する抗炎症作用を検討した.カラゲニン足浮腫法においてPVA軟膏は濃度依存の抑制作用を示し,PVA0.3%軟膏がBV0.12%軟膏と同程度の効果を示した.創傷部肉芽増殖,クロトン油耳浮腫,受身皮膚アナフィラキシーおよび遅延型皮膚炎に対してもPVA0.3%軟膏はBV0.12%およびHB0.1%軟膏と同程度かまたはそれ以上の強い抗炎症作用を示した.さらに創傷部肉芽増殖の実験において全身への影響として胸線萎縮作用を同時に検討したが,PVAのその作用は比較的弱い傾向であった.また,PVA皮下投与による肝グリコーゲンの蓄積,尿および電解質排泄および性ホルモン作用に対する影響は他のコルチコステロイドと同等であり,程度は弱かった.以上の結果から,PVAは局所効果が他と同等かそれ以上に強く,全身への影響は弱いコルチコステロイドであることが明らかにされ,外用剤としての臨床における有用性が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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加藤 靖
興和株式会社 富士研究所
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佐野 宣之
興和株式会社・東京研究所
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和田 靖史
興和株式会社東京研究所
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江藤 義則
興和株式会社東京研究所
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大平 明良
興和株式会社東京研究所
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生田 殉也
興和株式会社東京研究所
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加藤 靖
興和株式会社東京研究所
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