頻尿改善剤 Propiverine hydrochloride のイヌ排尿運動抑制作用の機作の検討
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概要
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新しいベンジル酸の誘導体である propiverine hydrochloride(P-4)の排尿運動抑制作用の機作について明らかにするために,膀胱—排尿筋反射(Barrington の第1反射に相当する)の各構成要素に対する P-4 の作用についてイヌ生体位膀胱を用いて検討した.両側の骨盤神経および下腹神経の切断下において,一側の骨盤神経の切断末梢端を電気刺激すると明らかな膀胱収縮が観察された.P-4(2,5,10mg/kg,i.v.)は用量依存的に有意にこの収縮を抑制した.同様な有意抑制作用は flavoxate(10,20mg/kg,i.v.),verapamil(1mg/kg,i.v.)および propantheline(2mg/kg,i.v.)においても観察されたが,thiopental(4mg/kg,i.v.)では認められなかった.両側の骨盤神経および下腹神経の切断下において,膀胱の伸展に伴う求心性インパルスの頻度増加が骨盤神経膀胱枝の切断末梢端から記録された.P-4(10mg/kg,i.v.)はこの求心性インパルスの頻度増加に対して認むぺき変化を示さなかった.一側の骨盤神経膀胱枝の切断中枢端の電気刺激によって,対側の骨盤神経膀胱枝に遠心性活動が反射性に誘発された.thiopental(2,4mg/kg,i.v.)は反射性活動の明らかな抑制を示したが,P-4(10mg/kg,i.v.)では,このような抑制は示されなかった.上述の結果から,P-4の膀胱—排尿筋反射における作用点は骨盤神経遠心路末梢側であることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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金子 茂
大鵬薬品工業(株)製薬センター薬理研究所
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岡田 博匡
川崎医科大学
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北里 健二
大鵬薬品工業(株)研究開発本部開発研究所
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山崎 泰英
大鵬薬品工業(株)研究開発本部開発研究所
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金子 茂
大鵬薬品工業(株)研究開発本部開発研究所
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岡田 博匡
川崎医科大学第二生理学教室
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