徐放性テオフィリン製剤のイヌにおける体内動態に対する食餌の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イヌにおける徐放性テオフィリン(TP)製剤の体内動態に対する食餌の影響について検討した.6頭の雑種犬(体重10〜15kg)に,2種の徐放性TP製剤(Theolong錠とTheodur錠:100mg/head)をそれぞれ食餌あるいは絶食後に経口投与した後,血漿と尿中TPおよびその尿中排泄物を高速液クロで測定した.Theolong錠およびTheodur錠を両条件下で投与して得られた血中TP濃度の経過は2-コンパートメントモデルで解析できた.食餌犬におけるTheolong錠のCmax(4.047±0.298,μg/ml),Auc(71.347±0.941μg・hr/ml)およびF(0.536±0.047)は,いずれも絶食犬の約40〜50%であり,吸収パラメーターの有意な低下が認められた.一方,Theodur錠の吸収過程をふくむ全てのパラメーターは,両条件間で有意な差は認められなかった.食餌犬でえられたTheolong錠による尿排泄速度の増加率とその最大効果(1.849±0.626ml/kg/hr)は,絶食犬(5.59±1.31ml/kg/hr)に比べて緩徐で,有意に減少した.Theolong錠を投与したイヌの尿中には,TP,3-メチルキサンチンおよび1,3-ジメチル尿酸のピークが認められ,この尿中排泄物の種類は両条件下で同様であった.しかし,食餌犬では,TPとその代謝物の36時間目までの累積尿中総排泄率(38.96%)は約59%減少,全身クリアラソス(0.7581/hr)に対する肝クリアランス(0.4361/hr)の割合は約72%に減少したが,腎クリアランス(0.3221/hr)の割合は,約2.5倍に増加した.これらの成績は,イヌでは徐放性TP製剤の吸収過程が食餌により影響されるもの(Theolong錠)とされないもの(Theodur錠)とがあることを示している.
著者
-
種池 哲朗
酪農学園大学獣医学部薬理学教室
-
宮崎 秀人
酪農学園大学獣医薬理学教室
-
鈴木 伸二郎
酪農学園大学酪農学部獣医学科獣医薬理学教室
-
作本 貞良
酪農学園大学酪農学部獣医学科獣医薬理学教室
-
作本 貞良
酪農学園大 酪農
-
種池 哲朗
酪農学園大学, 獣医学部, 薬理学教室
-
宮崎 秀人
酪農学園大学酪農学部獣医学科獣医薬理学教室
関連論文
- ブタ子宮筋に存在するプロスタノイド受容体サブタイプの薬理学的解析
- 57. ブタ子宮におけるプロスタノイド受容体分布の筋層差
- 卵巣ステージが豚子宮筋の自発収縮活性と薬物反応性におよぼす影響
- ウシ子宮に存在する非adrenaline, 非choline作動性神経伝達物質の解明
- ブタ子宮筋のacetylcholine誘発性収縮に関与するmuscarine受容体subtypeの解明
- 成牛における硫酸キニジンの第4胃内投与後の血中動態
- 正常並びに実験的腎不全犬におけるフロセミドの体内動態と利尿効果
- 5-Hydroxytryptamine のブタ子宮筋収縮抑制作用とその細胞内メカニズム
- 徐放性テオフィリン製剤のイヌにおける体内動態に対する食餌の影響
- テオフィリンのイヌにおける体内動態
- 徐放性テオフィリン製剤のイヌにおける体内動態
- 獣医学における学位の取得(V) : 酪農学園大学大学院獣医学研究科獣医学専攻博士課程