2-(4-Benzyl-piperidino)-1-(4-hydroxyphenyl)-1-propanol(Ifenprodil)の薬理作用 ―特に生体位心臓および血管系に対する作用―
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概要
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Ifenprodilの生体位心臓および血管系への影響を麻酔犬および無麻酔兎を用いて検討し,以下の結果を得た.1)Ifenprodil 12.5〜5,000μg/kgの静脈内投与は犬血圧を下降し,下降の程度と持続は用量の増加に応じて増大した.Ifenprodilの降圧作用はphenoxybenzamine(5mg/kg)によって抑制されたが,atropine(2mg/kg),diphenhydramine(2mg/kg)およびpropranolol(0.5mg/kg)によっては有意の変化を受けなかった.脊髄切断およびreserpine処置動物でifenprodilの降圧作用は減弱した.2)Ifenprodil50〜5,000μg/kgはadrenalineおよび両側総頸動脈閉塞による昇圧作用を著明に抑制したが,noradrenaline,昇圧作用は軽度に抑制したに過ぎなかった.Ifenprodil 1mg/kgはacetylcholine,迷走神経末梢端電気刺激およびhistamineによる降圧作用を軽度に抑制したに過ぎなかった.3)Ifenprodilの静脈内投与は血圧下降と同時に犬の総血管抵抗を減少し,各動脈城の血管抵抗を減少した.この時,椎骨動脈および大腿動脈血流量を著明に増大した.Ifenprodil0.01〜5μg/kgの動脈内投与は各動脈血流量を用量に応じて増大し,特に,椎骨動脈および大腿動脈血流量を著明に増大した.Ifenprodilの動脈内投与による大腿動脈血流量増大作用はatropineによって変化を受けず,propranololおよびPhenoxybenzamineによって軽度抑制されたに過ぎなかった.Ifenprodilの静脈内投与による椎骨動脈血流量増大作用はphenoxybenzamineによって軽度抑制されたに過ぎなかった.4)IfenProdilの静脈内投与は血圧下降に伴って犬の心拍数を増加し,心収縮力を増大した.このような変化はpropranololおよびphenoxybenzamineによって遮断された.また,兎においても同様の変化が認められ,reserpine処置兎では逆に心拍数減少作用が認められた.5)以上の成績からifenprodilは主として椎骨動脈および大腿動脈血管に直接作用し,末梢抵抗を減少することによって血圧を下降することが示唆される.α-アドレナリン受容体遮断作用も一部関与するようである.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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